「天晴」塾~大学受験国語~

難関大学を中心に国語の入試問題を解説します。

入試標論文の読み方

 こんにちは。大学受験「天晴」塾のbackbeat-akaです。

 今回は評論文の学習方法についてお話ししたいと思います。

1.入試現代文の問題点 

 とはいえ、そのメソッドについてはご承知の通り、多くの先生方が既に様々な参考書や動画などで解説なさっているので、私が今更目新しいことを言えるわけでもありません。

 そこで最初に、私が常々、現代文の授業や解説についての問題点について感じていることを述べてみたいと思います。

 巷にあふれている現代文の参考書や動画のほとんど、さらに実際行われている授業の多くは、「現代文の読み方指南」であると思います。

 記述答案の具体的な「書き方」指導や、選択問題の「選び方」についての解説は多くはない、というのが私の印象です。

 もちろん、文章を読めなければ記述解答を書くことはできないし、選択肢を選ぶことはできません。

 しかし、「読む」ことと「書く」こととの間には、深い溝があると思っています。読めたからといって、直ちに「書く」ことはできないのです。

 さらに、文章の読み方については様々なメソッド、アプローチがありますが、私の印象だと、高校や予備校の先生方は、入試現代文の解説を行う際に、あらかじめ解答を手に入れているので、どうしても「解答例」という先入観に引きずられ、解答から遡って問題文の解説をする傾向にあると思います。

 たとえて言えば「後出しじゃんけん」みたいなものです。

 さらに、先に解答(それは大学発表の正解であったり、大手受験業者作成のものであったり)を知っているがゆえに、どうしても解説が拙速になり、生徒を置き去りにしてしまうことがあるように思います。

 そして当然のことですが、教える側は生徒の理解が追いつかず、周回遅れになっていることに気づきません。

 「こういう風に読めば分かる!」と先走りして自己満足する。

 教わる側はよどみない解説を聞いて、「そんなものなのかな」と分かったような気になってしまう。

 今まで現代文を教わってきて何となく分かったような気になっていても、それが得点に結びつかないのは、生徒が解説を講演会のように聞いてしまっているところに原因があるのだと思います。

 教える側が読み手目線になって、ゼロから文章に取り組み、書き手の思考の流れを逆にたどり、論理(=意味)を追いかける方法を示してやることが大切です。

 

 こんな御託を並べても、受験生には関係のないことなのですが、東大を始めとした本欄の入試問題解説は、できるだけ、受験生が限られた時間の中で文章を読み、設問に答えるとしたら、この程度が限度だろう、逆にこの程度解答できたら合格答案として申し分ない、というレベルで行っています。

 作成した解答例を出題者(大学の先生)と張り合う先生もいますが、本欄ではそのようなことは目指しません。(そもそも大学が解答例なるものを作成しているかどうか非常に怪しい。)

 

2.評論文の読み方 勉強方法

 「天晴」塾における評論文の読み方について、①~③の方法を掲載します。

①本文マーキング

*「本文の論理展開をつかめ」的なことを聞いたことがあると思います。

 「論理をつかむ」とは、「文の意味を知る」ということです。

 意味とは、次の3つのレトリックを用いて書かれています。

ア 同内容の繰り返し(A=A1=A2)

イ 対立(対比) (A⇔B)

ウ 因果(原因と結果/順序)

*この観点に沿って、問題文にマークをしながら読んでいきます。

a 形式段落に番号を振りながら読む

b 筆者の主張に傍線を施す

c 指示語(「それ」「これ」等)は〈  〉でくくる

d 強調表現や要約を表す言葉(「しかし」「にほかならない」「つまり」「このよう 

  に」等)はその語を囲む

e 具体例・例示は(  )でくくる

f 同内容の繰り返しは「=」や「A→A1→A2」等で示し、対立(対比)表現は

  「A⇔B」等で示す。

*何もマークをせずに文章を読むと、最後まで読んでも何も頭に残りません。ペンを持

 ちながら文章を読む、という習慣を身につけてください。

②本文をマッピングする

a 本文を意味段落に分けてみる。分からなければ傍線部と傍線部の間で分ける。

b 意味段落ごとに、展開図を作ってみる。→、⇔等の記号を使いながら、本文を箇条

  書きにして作成する。

 →このトレーニングを行うと、試験中に本文を嫁ながら、脳内でマッピングができる

  ようになっていきます。これを目指します。

③本分を10回繰り返して読む訓練

a 本文にマーキングをしながら、10回繰り返して読む。マークは追加したり消した

  りしながら適宜修正していく。

b 10回繰り返して読んだら(おそらく1時間ほどかかります)、設問の最後にあ

  る、内容一致問題をやってみる。→かなりの確率で正解する

*どんなに難解な文章でも、10回繰り返して読めば、たいていの人(大学に行きたい

 と思って勉強している人)は内容が頭に入ってきます。

*自分が好きな映画や本(漫画・アニメ)、推しのアーティストの曲は、何回も繰り返

 して見たり読んだり聞いたりするでしょう。

*そしていつの間にか内容が(文字が)頭に記憶され、よどみなく口にすることができ

 る。そうした経験は誰でも持っているはずです。

*それを大学入試の問題文でも経験するのです。

*普段、我々は学校の授業で文章を10回も読む経験をしたことはありません。

 せいぜい、1~2回程度です。授業で1回、試験前に1回読むくらいでしょう。

*この練習をすることによって、本文のどこが重要でどこが読み流してもよいかが見え

 てきます。それを体得するのです。

*たとえていうなら、ボクシングの選手は試合で12ラウンド戦うのに何百回もスパー

 リングします。

 マラソンの選手は大会で42.195キロ走るのに、その何倍もの距離を走り込みま

 す。

*文章を読むとは、個人的で内的な営みです。

 大学入試では、始めから終わりまで徹底して自分一人で読み解くことが求められま

 す。

 この力を伸ばすのです。

*まずは、本文に何が書いてあるか、完璧に理解する習慣を付けることが大切です。

 問題が解けた、解けないは、初期の練習段階ではたいした問題ではありません。

*この方法は時間がかかるので毎回やる必要はありません。

 時間のあるときに、是非一度試してみてください。

*実際の入試(または模試)においては、問題文へのマーキングと脳内マッピングを行

 いながら読んでいきます。

 これを数分で読むトレーニングをしていくのです。

 

★以上が私の考える評論文の基本的な読み方です。

 現代文の読み方は、いろんな先生ブログやYouTubeでメソッドを公開していますの

 で、見比べて自分に最適な勉強方法を探ってください。

 

★次回は、「小説の読み方」についてお話しします。