「天晴」塾~大学受験国語~

難関大学を中心に国語の入試問題を解説します。

大学受験塾「天晴」 ~国語の入試問題解説~

 こんにちわ。大学受験「天晴」塾にお越しいただきありがとうございます。

 本サイトは国語の大学入試問題(現代文、古文、漢文)の解答と解説を行います。

講師プロフィール

 長年、公立高校で教鞭を執り、現在は予備校の講師をしています。偏差値40から東大の推薦入試指導まで、柔軟に対応します。

既存の受験サイトとの相違点

 大手の予備校発表の解答解説は、オフィシャルな立場としての発表なので、どうしても解答が難解なものになってしまいがちです。

 そこで「天晴」塾では、受験生が入試本番において緊張状態の中であることを想定し、「この程度の答案が書ければ十分だ」というレベルの解答解説を掲載します。

 手始めに今週の東大入試国語の第1問の解答解説を掲載しました。御覧下さい。

backbeat.hatenablog.com

2026年度早稲田大学法学部国語(一)~(四) 解答解説一挙掲載

 こんにちは。大学受験「天晴」塾のbackbeat-akaです。

 

 今回は2026年度早稲田大学法学部の問題を掲載しました。

 (一)~(四)まで一挙掲載ですので、分量が多くなっています。

 

 この2026年度の早稲田法学部の入試問題に関して、ちょっとした話題がありました。

 それは、大手予備校が出した解答速報の中に、明らかに間違いがあったのです。

 

 (三)(四)現代文の一部の設問において、某予備校の出した解答がほかの予備校と全く異なっていました。

 ウェブ上で話題になった後、某予備校は解答を訂正して掲載しました。

 

 今回、私も他社の解答を見ずに解いてみたところ、某予備校の解答は明らかに間違っていました。

 解説では苦しい言い訳をしていました。

 そんなこともあるんだなあと思いました。

 

 早稲田大学法学部の問題は例年難しいのですが、2026年度は古典が非常に取り組みやすく、平易でした。どうしたのでしょう。

 対策としては(一)(二)の古典を30分で解いて、残り60分で現代文を解くのがいいでしょう。

 ただし、(四)には180字の記述問題がありますので、(三)=25分、(四)=35分がいいと思います。

 それでは、お励み下さい。

 

backbeat.hatenablog.com

 

 

2026年度早稲田大学法学部 国語解答解説 

2026年度 早稲田大学法学部 国語(古典) 解答解説  
(一) 古文「枕草子」(14点)
★有名作品からの出題。問題文の分量が例年より大幅に少なく、例年の半分程度だっ 

 た。設問も難解なものはほとんどなく、大幅に易化したと考えられる。
★ただ、法学部の特徴である、文法や語句と文脈を結びつけて答えさせる問題が例年同

 様多かった。
★問題文は「恥づかしき人」=「高貴な客」を迎えた際に、奥で家人が無遠慮におしゃ

 べりをし続けることに対する文句を述べた文章である。
★本文を読む前に、注と設問に目を通して、選択肢を頼りにできるだけ情報を仕入れて

 おくことが大切である。設問(傍線部)は相互に関連しているので、最初にできるだ

 け全体を俯瞰したい。このことはトレーニングを積み重ねれば身についてくる。

問一 空欄Aに入る語句として、最も適切なものを次の中から一つ選び、解答欄にマー

   クせよ。 
*空欄補充問題。
*「「あな、かま」(=ああ、うるさい、静かにして)なども( A )」なので、何が

 うるさいのか冒頭から確認する。
「よにわびしくおぼゆることは、恥づかしき人のある折に」
 =まことにやるせないことは、こちらが恥ずかしくなるくらい立派な客が我が家にい

  る際に、
「奥の方にうちとけごとども言ひ」=奥の方でくつろいだ話などをしていたり
「もしは、ほかより来たる者などの」=または、余所から来た者などが
「あやしきことども言ひ続けなどしたるこそ」

 =見苦しいことの数々を言い続けているのは
 ↓
「「あな、かま」なども( A )」

 =「ああ、うるさい、静かにして」なども( A )。
 ↓
*高貴な客人が来ているのに側で無遠慮におしゃべりをし続けていることに対して「あ

 な、かま」と言いたいのである。
イ「言はざりつれ」・・・意味が反対。
ロ「言はまほしけれ」・・・「まほし」は希望の助動詞。「言いたかった」←正解
ハ「言ひたりしか」・・・「言った」←冒頭で「よにわびしく」と言っているので、実際は

  言っていないと思われる。
ニ「言ふなれ」・・・「言うのである」←一般論になっている。
ホ「言ふらめ」・・・「今頃は言うのだろう」←意味が通じない。
*基本的な単語力で対応できる。


二 傍線部1「聞き入れぬさまにて」の解釈として、最も適切なものを次の中から一つ

  選び、解答欄にマークせよ。
*傍線文の解釈問題。傍線部前後の部分の解釈ととともに正解を導き出す。
*「聞き入れぬさまにて」=耳に入らない様子で。
 「聞き入る」=耳に入る/耳に入れる。
 「に」=断定の助動詞「なり」連用形。「で」と訳す。
 ↓
◆何を耳に入れないのかというと
「制せんにもはしたなく」=(「静かにして」と)制止するのも決まりが悪く。
「はしたなし」=中途半端だ/みっともない/決まりが悪い
 ↓
*つまり、「静かにして」と制止するのも決まりが悪いので、おしゃべりが聞こえない

 ふりをする、ということだろう。
「聞き入れぬさまにてまぎらはすも、すべて汗あへて、わびし」
 =耳に入らないふりをして紛らわすのも、おしなべて汗が流れ出てつらい。
イ「おしゃべりはどうせ聞こえないだろうという態度で」

  ・・・「聞き入れぬ」の解釈が誤り。
ロ「おしゃべりを制止しても聞き入れてはくれない様子で」

  ・・・「聞き入れぬ」の解釈が誤り。
ハ「こちらにはおしゃべりが聞こえていないようにして」・・・正解。
ニ「しゃべるのを黙らせようとしても聞こえぬふりをして」

  ・・・「聞き入れぬ」の解釈が誤り。意味が通らない。
ホ「人々がしゃべり続けているのを承諾しない方針で」

  ・・・「聞き入れぬ」の解釈が誤り。


問三 空欄Bに入る語句として、最も適切なものを次の中から一つ選び、解答欄にマー

   クせよ。
*空欄補充問題。空欄前後の文章を検討する。
「宮仕へ所の局などは、まして下衆近なれば」
 =宮仕えをする女房たちの部屋などは、まして(宮中という場所柄)身分の低い者

    (下衆)が近くに寄ってくるので
「あさましきことどもこそ多かれ」

 =あきれかえるようなこと(騒々しいことや見苦しいこと)が多くある。
  ↓
「( B )、かくはあるぞ。あな、心う」

 =( B )、このようであるのか。ああ、いやだ。
「など、爪弾きをし、聞かすれば」=など非難をして聞かせると
 ↓
*つまり作者は、居室近くで身分の低い者が多く出入りするため、落ち着きがなく、騒

 がしいと不快に思っている。空欄には疑問詞が入らねばならない。
イ「いかで」=どうして・・・正解
ロ「いざ」=さあ
ハ「さはれ」=ええ、ままよ
ニ「さりとて」=そうかといって
ホ「しからば」=そうであるならば


問四 傍線部2「みそかにこそ、なにがしは言ひはべりつれ」の解釈として、最も適切

   なものを次の中から一つ選び、解答欄にマークせよ。
*傍線部の解釈の問題。傍線部を含む会話部分全体を検討する
「いなや、聞こえやしはべりつる」=いやもう、申し上げてしまったのですよ。
 「いなや」=いやもう 
 「聞こゆ」=申し上げる(「言う」の謙譲語)
 「やし」=動詞の連用形に付いて、動作を強調する間投助詞
  「はべり」=〜です/〜ます(丁寧語)
  「つる」=〜た/〜てしまった(完了の助動詞「つ」の連体形)
 ↓
 「みそかにこそ、なにがしは言ひはべりつれ

 」=ひそかに、わたくしは言っておりました。
 「みそかに」=ひそかに
 「なにがし」=自称代名詞。わたくし。
イ「限られた仲間で、なんらかの話はしました」・・・単語の解釈が誤り。
ロ「月末には、ある人が話をしていました」

  ・・・単語の解釈が誤り。前の部分とのつながりもない。
ハ「三十日間は、なにかと話題にしました」・・・単語の解釈が誤り。
ニ「内緒話ならば、誰それが言っておりました」・・・単語の解釈が誤り。
ホ「ひそかな声で、自分は話しておりました」・・・正解
 ↓
「など、すべりもてゆきて、深くいとほしとだに思ひたらぬ心どもこそ、あさましけれ」
 =など、すべるようにその場から移動して、深く気の毒だとさえ思いが至らない心に

  あきれかえる。


問五 傍線部3「これは制せらるることぞ、と思ひ出でたることにや、あたらしく言ひ

   なし、つくろふさまも」の表す内容として、最も適切なものを次の中から一つ選

   び、解答欄にマークせよ。
*傍線部の内容説明問題。傍線部を含む前後の部分を検討する。
「のちのことを思へば、返す返すいみじく言へど」
 =後々のことを考えると、聞こえていないと思い込んでおしゃべりを続けているのは

  よくないので、繰り返しきつく言うけれど、
「常にさのみこそあるや」=いつもそのようなことばかりあるなあ。
 ↓(また)
「これは制せらるることぞ(ありける)」=これは制限/制止されることがあった

 ・・・「らる」は受身。
「と思ひ出でたることにや(あらむ)」=と思い出したのであろうか

 ・・・「に」は断定
「あたらしく言ひなし、つくろふさまも」
 =他の新しい話を言い立て、取り繕う様子も

 ・・・「あたらし」は「新しい/新規の」の意味。ここでは定番の「惜しい/残念な」

    ではない。受験生は大いに迷うところ。
「いとなかなかをこなり」=たいそうかえって愚かなことだ。
イ・・・「自分では罰せられるよ」「新参者」「うそをついて」の解釈が誤り。
ロ・・・正解。
ハ・・・「やめられないおしゃべりの理由」の解釈が誤り。
ニ・・・「上司」「自分を抑えつける」「惜しい」の解釈が誤り。
ホ・・・「尊敬する人」「話にふけることは抑制的で」「生まれ変わったおとなしい人」の

    解釈が誤り。


問六 傍線部4「さやうなる人」に相当する人物として、最も適切なものを次の中から

   一つ選び、解答欄にマークせよ。
*指示語の問題。傍線部を含む文全体を口語訳する。
「また、さやうなる人に会ひて」=また、そのような人に会って、
「いみじう心にくきさまにてもてなし」

 =その人が非常に上品で風情がある様子で振る舞い、
「咳などするに」=咳などすると
「五つ六つばかりなる稚児の、北面にて乳母などのおぞく聞こえけることを」
 =五、六歳の子どもが、北側の部屋で乳母などが厳しく言い聞かせたのを
「走り来てうれへかくるこそ、わりなけれ」

 =走ってきて愚痴を言って隠れるのは、どうしようもないことだ。
 ↓
*「心にくきさまにてもてな」す人とは、冒頭にあった「恥づかしき人」=こちらが恥

 ずかしくなるくらい立派な人、であろう。
イ「下衆」・・・意味が反対。
ロ「恥づかしき人」・・・正解。
ハ「ほかより来たる」人・・・「心にくきさまにてもてなす人」の説明として不適当。
ニ「宮仕へ所」にいる人・・・「心にくきさまにてもてなす人」の説明として不適当。
ホ「乳母など」・・・根拠なし。


問七本文の内容に合致しないものを次の中から一つ選び、解答欄にマークせよ。
*全体の内容一致問題。
イ・・・第一段落最終文に記述がある。
ロ・・・第四段落一行目~二行前に記述がある。
ハ・・・「よそから来ていたその立派な客人」は、「恥づかしき人」とは違う人物なので誤

     り。「怪しげな話」も解釈が違う。・・・正解
ニ・・・第三段落の内容と合致する。
ホ・・・第二段落冒頭の部分と内藤が合致する。

 

(二) 漢文「淞北夜譚」(10点)
*日本漢文。本文はいわゆる「丑の刻参り」のやり方について説明した文章。
*漢字が旧字体で書かれているが、「咀」「丑夜」「頭上燃蠟三枝」「釘之」等の語句から

    丑の刻に呪詛することの説明であることが推察できる。
*難問はなく、ほぼ傍線部とその前後で解答が導き出せるが、基本的な句形の完璧な理

 解、漢文語彙の知識、さらに日本漢文であることを踏まえた古典常識について精通 

 している必要がある。
*問題文には注番号が附されていないので、最初にチェックして語を囲むなどマークを

 しておくと良い。

問八 傍線部1「爲妄誕」という結論は、どのようにして導き出されたか。該当する四

   字を本文中から抜き出して、記述解答用紙の問八の欄に楷書で記入せよ。ただ

   し、返り点、送り仮名を除くこと。
*抜き出し問題。傍線部は「妄誕と為す」と読む。
*「妄誕」とは「でたらめ」のこと。直前の「此事」とは、「丑蠱」=「丑の刻参り」

 を指す。
*役人は呪詛によって相手を呪い殺す習慣をでたらめの話と見なした。
  ↓
*ということは、その根拠は現実的な、常識的な判断に基づいている、ということにな

 る。
*傍線部の後「然れども」に続く部分を見ると、(新字体で掲載)
「人神気所凝注、往往成奇怪、古今多例」

(人の神気の凝注する所は、往往にして奇怪を成すこと、古今に例多し。)
 =人間の精神力が集中することは、往々にして奇怪になることが昔も今も事例が多

  い。
「此未可以常理断也」(此れ未だ常理を以て断ずべからざるなり。)
 =このことはまだ常識的な道理で判断を下すことが出来ないということである。
 ↓
*従って、常識的な道理で判断を下す=「以常理断」が正解ということになる。
★正解・・・「以常理断」

 

問九 傍線部2「丑蠱行」と同じ意味で「行」という漢字を使用している語として、最

   も適切なものを次の中から一つ選び、解答欄にマークせよ。
*本文中における語の意味問題。傍線部の前を確認して、大須賀筠軒が弱冠=二十歳の

 時に作ったのが傍線部ということになる。それが本文後半にある詩である。
*つまり傍線部は「丑蠱」の詩を意味している。そこで選択肢を検討すると
イ「琵琶行」・・・「行」には「楽府の詩」という意味があり、。これが正解。
ロ「行住坐臥」・・・日常の立ち居振る舞いのこと。「行」は「歩く」の意。
ハ「行為」・・・行いのこと。
ニ「逃避行・・・世間をはばかる事情を抱え、隠れ住んだり各地を移動したりすること。

        「行」は「移動」の意。
ホ「銀行」・・・お金(金銀)を扱う店。「行」は「店」の意。


問十 傍線部3「頗爲詞林所傳誦」の意味として、最も適切なものを次の中から一つ選

   び、解答欄にマークせよ。
*傍線部の意味を問う問題。傍線部は大須賀筠軒が弱冠二十歳の時に作った「丑蠱行」

 についての部分。
「頗」(すこぶる)=たいそう
「為A所B」(AのBする所と為る)=AにBされる。(受身形)
「詞林」=詩文を集めた書物、あるいは詩人・文士の仲間(文壇)を指す言葉。

    =「騒壇」
「傳誦」=物語、詩文、歌、噂などが人から人へと口づてに伝えられ、広く読まれた

     り、話題になったりする状態。
 ↓
*以上から傍線部の訳は「たいそう文壇で広く読まれ話題になった」となる。
*「詞林」「騒壇」は難解な語句だが、大須賀筠軒が作った「丑蠱行」が漢詩であると

 いうことから、選択肢で不適当な部分を排除していく。
イ「短期間」「神社の鎮守」の解釈が誤り。
ロ「騒壇」「かなり」「知られる」等、傍線部の訳と合致している・・・正解
ハ「土地の神主」「千古の昔」の解釈が誤り。
ニ「祠を中心とする村落」「結構」の解釈が誤り。
ホ「音楽家が集まる森の中」「木霊」「響く」の解釈が誤り。


問十一 傍線部4「神燈欲死痩於星」の意味として、最も適切なものを次の中から一つ

    選び、解答欄にマークせよ。
*傍線部の意味を問う問題。傍線部は漢詩(楽府)の第二句。七言詩の基本である「四

 字/三字」の切れ目に注目する。
◆「神燈欲死」の部分
「欲」=「~せんと欲す」
 →「神燈死せんと欲す」=神社の明かりが今にも消えようとしている
◆「痩於星」の部分
「於」・・・対象、関係、場所、受身、比較を表す前置詞。
 ↓
*上の四字とのつながりから、受身文と判断し、「星よりも痩(そう)なり」と読

 む。
 =星よりも輝いていない(明るくない)。
イ「参詣者の欲望」「死の瀬戸際まで痩せ衰えた」の解釈が誤り。
ロ「あくことなき欲望」「神罰」「痩せ衰えて」の解釈が誤り。
ハ「神社のご神灯」「今にも消えてしまいそう」「炎が天空の星より小さくなった」

  ・・・正解
ニ「燃え上がって」「痩せこけた女性の体」「星の世界に追いやった」の解釈が誤り。
ホ「意欲がなくなって」「夜空の小さな星ばかりを眺めていた」の解釈が誤り。


問十二 傍線部5「此恨不徹神無霊」の意味として、最も適切なものを次の中から一つ

    選び、解答欄にマークせよ。
*傍線部の意味を問う問題。傍線部の読み下し→解釈、と基本的な手順を踏んでいく。
◆「此の恨み」とは、「丑蠱行」で晴らしたい恨みのこと。
「不」「無」があるので、「不~無・・・」の用法と決めてかかる。
 ↓
*読み方としては二通りある。
1.二重否定「~無くんばあらず」=~でないことはない(皆~する)。
2.否定の連用「~ずんば・・・無し」=~しなければ、・・・しない(ない)。
 ↓
1の場合・・・主語は「此の恨み」であるから、「徹」「神」の扱いに困ることになる。
2の場合・・・「此の恨み徹せずんば神は霊無し」=この恨みが貫徹しなければ、神に霊

      力は無いことになる。
*問十一と同様に、「四字/三字」の切れ目からも、この読み方が妥当である。
イ「「徹底させ」「神仏のご加護が得られる」の解釈が誤り。受験生は選んでしまうかも

   しれない。
ロ「相手に届かないとすると」「ご神体に霊験がない」・・・正解
ハ「この魘魅罪」「撤廃」「神から授かった寿命」の解釈が誤り。
ニ「晴らさない限りは」「神の如き力を得る」の解釈が誤り。
ホ「この恨みに」「魘魅罪が適応されれば」「霊験があることが実証」の解釈が誤り。


*基礎的な句形のゆるぎない理解と、語彙力以上に文中の語意を正しく把握する力を駆

 使し、文章全体の中での傍線部として矛盾のない解釈と説明が求められる。

 

(三)現代文 真木悠介「時間の比較社会学」 16点
                             
◎本文展開(マッピング)
第一意味段落(①~⑥)
①    時間の客体化(A)/時間の析出・・・巨大な解放
 ↓(第一に)
② 共同態をこえた巨大な協働連関→物質的生活水準の高さ/精神的生活内容の多様性
   ↓
    客体化された時間の概念はその不可欠の前提
 ↓(さらに第二に)
③ 諸個人・・・自由な個体性と自立した創造力とを発展

④ 1時間が人びとの外に析出し客体化されるということは、逆にまた、諸個人が時間

   の外に主体化されるということでもある
   ↓
  時間という「外的な枠の中に」あるものとして人びとが自己を意識する
   ↓
     時間というのがれられない「わくぐみ」の中に生きているという意識
   ↓
  時間の外在化の帰結/時間にたいして外に立つ

⑤ 集合態化した世界の時間にたいして、諸個人は外在化するというかたちで内在化し

  ている
   ↓
     時間を外在化し、「世界の時間」から自立する主観性を獲得

⑥ 第一の解放・・・間・共同態的な集合態関係の存立せしめる対象としての時間/外延

          的な解放
  第二の解放・・・内・共同態的な集合態関係の存立せしめる対象としての時間/内包

                               的な解放
第二意味段落(⑦~⑫)
⑦ 時間の客体化のもたらす帰結→両価性

⑧ (一九七○年代 メキシコの列車事故の例)
  事故を起こした運転手・・・近代化されたシステムの運転者としては破壊的     

⑨ メキシコ人の人間評価の基準・・・共感的/生きられる共時性(B)
   ↓
    周囲の生成に浸透され、それと一体をなすと感じながら、それとともに調和をもって

 前進する能力(B)

⑩ 生きられる共時性(B)

  ・・・近代的な社会のシステム(A)にとっては、無条件に肯定されうるものではない
     時には破壊的な攪乱要因にさえなる

⑪ 近代化がいまだ精神の底辺にまで浸透していない国々
     交通や郵便や官庁のシステム(B)
   ・・・担っている人間の、対象や愛している人間にたいする共感とあたたかさ
     ↓(ゆえに)
   たえず攪乱され放置され、時間的にもその他の点でもまったく信頼のおけないもの

  にまでなっている

⑫ 「2月が出ると全アフリカが踊る」あいだは、アフリカの近代化は完成しないだろ

  
    「虹を見ると踊る」心(B)

  ・・・近代社会のビジネスマンやビュロクラット(=官僚)はつとまらない
      ↓
  近代化のいわば、人間類型的な代償(A)
   ↓
  近代社会のシステムの要求する外的な共時性へのパンクチュアリティ(=時間厳

  守)
   ・・・内的な共時性のいったんの自己外化を前提として要求する
第三意味段落(⑬~㉑)
⑬ 歴と時計とによる生活の時間的編成のこころみ
   ・・・古代の諸国家にまでさかのぼることができる

      相当高度に整備され緻密化されたシステム
 ↓(けれども)
⑭ 一社会全体の生活が時計的に編成されている・・・近代社会の特質(A)
 ↓
⑮ 向上、官庁、学校、テレビジョン・・・近代人の生活の時計化(A)の領域を順次拡大し、密度を細密化

⑯ 近代における国民的な義務教育、「普通教育」の主要な機能が、時計的に編成され

  管理された生活秩序への児童の訓致にある(A)
  ↓(それは)
⑰ 社会の主要な職業形態の要求する生活の時計化を、就労以前の時代の大半にまで延

  長

⑱ 放送メディアーテレビジョン(A2)
   ・・・就労も通学もしていない残りすべての家族たちの生活を時計化する
     外的な「時間」の意識の最初の教育をほどこす

⑲ テレビジョン(A2)・・・「私生活」(B2)の内部に、客観化され計量化され管理

               化された時間の秩序をうちこむ 

⑳ かつての柱時計や目覚まし時計(B2)
   ・・・独自に積極的に家族生活の時間を編成するという主体性を持たず
     外部の市民社会の要求とかかわるかぎりの社会的時間の告知者にとどまった
   ↓
  時計の消極性(B2)・・・家族生活の内部をブラックボックスとして放置

               古典的な市民社会のシステム

㉑ テレビジョンが家族の生活時間をそれ自体として積極的に編成する力をもっている

  (A2)
   ↓
  〈提供するもの〉の相貌
   ↓
  3それは社会的時間の支配の、〈夜警国家的〉な形態から、〈福祉的国家〉な形態へ

   の移行である(A2)
   ↓(すなわち)
  国民の、欲望の操作を媒介とする全生活の組織化である        

 

◎設問解説
*入試にしばしば出題される著者の文章。時間の客体化が近代以降の人びとの意識と社

 会にどのような変質をもたらしたかを 述べた文章。
*設問は空欄補充、傍線部説明、欠落文補充、内容合致問題と多岐にわたる。必ず本文

 を最後まで通読してから設問に臨みたい。あらかじめ、設問や選択肢に目を通してお

 くことは言うまでもない。

問十三(記述・漢字)
 a 素朴 b 硬化


問十四 本文には次の一文が脱落している。本来はいるべき場所として最も適切なもの

    を【イ】~【ホ】の中から一つ選び、解答欄にマークせよ。
*欠落文補充問題。最初に欠落文の表現上の特徴をつかみ、対応する部分を探してい

 く。
*「近代化のいわば、人間類型的な代償」=(A-)であるので、(A)を獲得した結

   果、(B+)を失ったことが「代償」 を支払った、いうことになる。
(A)=近代による時間の客体化/近代的な社会システム 
(B)= 共感的/共時性/「月が出ると全アフリカが踊る」/「虹を見ると踊る」
 ↓
*」これを踏まえて、空欄を検討する。
◆【イ】
⑧「この運転手は人柄はいいかもしれないけれども、近代化されたシステムの運転者と

 しては( Z )である。
  →【イ】
 ↓
*列車の運転席で女ともだちとテキーラをのんでどんちゃんさわぎをした運転手は「共

 感的」(B)な存在である。
 ↓
*従って、近代化されたシステムを破壊する存在である。(大規模な列車事故を起こし

 た)
 ↓
*この事例は近代化の「代償」を払ったのではなく、むしろ「破壊」したのであるか

 ら、脱落文は該当しない。   
◆【ロ】
⑪「近代化がいまだ精神の底辺にまで浸透していない国々~不便や困惑やわずらわしさのやや純粋なかたちにすぎない」
    ↓
 【ロ】
    ↓
 「交通や郵便や官庁のシステムが」
 「それを担っている人間の、対象や愛している人間にたいする共感とあたたかさのゆ

  えに」
 「たえず攪乱され放置され~まったく信頼のおけないものにまでなっている」
 ↓
*ということは(A)が十分に浸透してない国においての(B)状態についての部てい

 る部分である。該当しない。
◆【ハ】             
⑫「「月が出ると全アフリカが踊る」(B)あいだは」
 「アフリカの近代化(A)は完成しないだろう」
  ↓
 「「虹を見ると踊る」心(B)をいつももちつづけていれば」
 「近代社会のビジネスマンやビュロクラット(A)はつとまらない」
  ↓
 【ハ】
    ↓
 「近代社会のシステムの要求する外的な共時性へのパンクチュアリティは」(A)
 「内的な共時性のいったんの自己外化を前提として要求する」(A)
 ↓
*ということは、(B)のような共感性、共時性を持ち続けている限り、近代化の精神

 は身につかない、ということ。
 それは、近代化の代償(-)であろう。ここが正解。 
◆【ニ】
⑭「一社会全体の生活が一般に~時計的に編成されていることは、近代社会の特質であ

 る」→【ニ】
 ↓
*ここは近代の特質(A)について「時計的」の観点から説明した部分であり、(B)

 との関連はないので、該当しない。
◆【ホ】
⑱「テレビジョン(A2)は、就労も通学もしていない残りすべての家族たちの生活を

 時計化する」
  ↓
 【ホ】
  ↓
 「こんにちかれらに外的な「時間」の意識の最初の教育をほどこすのはテレビジョン

  である」 
 ↓
*ここも「テレビジョン」という(A2)の要素しか述べていないので、該当しない。     

★正解・・・【ハ】


問十五 傍線部1「時間が人びとの外に析出し客体化されるということは、逆にまた、

    諸個人が時間の外に主体化されるということでもある」とあるが、それはなぜ

    か。最も適切なものを次の中から一つ選び、解答欄にマークせよ。
*傍線部の理由説明問題。第一意味段落に書かれている「時間がが人びとの外に析出し

 客体化される」ことを前提として、それはまた「逆にまた」「主体化」「することでも

 ある」の表現に注目し、該当箇所を拾っていく。
〈解答への道筋・思考のプロセス〉
◆第一意味段落の内容の確認
①「時間の客体化(A)~巨大な解放」
   ↓
②「共同態(B)をこえた巨大な協働連関」
   「物質的生活水準の高さ/精神的生活内容の多様性の前提」(A)
   ↓
③「諸個人は共同態の〈生きられる共時性〉(B)からいったんは身をひきはなし」
  「自由な個体性と自立した創造力とを発展させてゆくことができる」(A)
   ↓
④「時間が人びとの外に析出し客体化される」(A)

  =「諸個人が時間の外に主体化される」(A)
   ↓
 「時間にたいして外に立つ」(A)
   ↓
⑤「集合態化した世界の時間にたいして」(B)
  「諸個人は外在化するというかたちで内在化している」(A)
   ↓
 「みずからを意識するというかたちで時間を外在化し、「世界の時間」(B)から自立

  する主観性を獲得(A)」
 ↓
*ここまでを整理すると
1.時間の客体化は共同態における個人を解放し
2.自由な個体性と自立した創造力とを発展させ
3.時間にたいして外に立つことによって
4,自分を意識することで時間を外在化し、共時性から自立する主観性を獲得する
ということになるだろう。記述問題ならこれをまとめればよい。

イ「相対化」=「客体化」ということが理解できたか・・・・正解。
ロ「社会の共時性に抵抗する創造力」が誤り。「抵抗」ではなく「解放」である。
ハ「物質的~最大の価値を置く社会意識が形成される」が誤り。「最大の価値」とはい

    っていない。
ニ「自己の充足を協同態の安定よりも重視する価値観」が誤り。方向が違う。
ホ 全文が誤り。話題が異なる。


問十六 空欄( X )および( Y )に入る語の組み合わせとして最も適切なもの

    を次の中から一つ選び、解答欄にマークせよ。
*空欄補充問題。第一段落のまとめの部分。(X)は難しいが、(Y)は探しやすい。

 問十五でのまとめがヒントになる。
〈解答への道筋・思考のプロセス〉
◆第一の解放
②「共同態をこえた巨大な協働連関」
  「拡大された集合態的な協働連関によってはじめて獲得される物質的生活水準の高さ

  と精神的生活内容の多様性」
  ↓
⑥「( X )・共同態的な集合態関係の存立せしめる対象としての時間」
  「外延的な解放」
 ↓
*つまり「第一の解放」は、「巨大な協働連関」であり「共同態的な集合態関係」であ

 る。
◆第二の解放
③「諸個人は共同態の〈生きられる共時性〉からいったんは身をひきはなし」
  「自由な個体性と自立した創造力とを発展させてゆくことができる」
  ↓
⑥「( Y )・共同態的な集合態関係の存立せしめる対象としての時間」
  「内包的な解放」
 ↓
*つまり「第二の解放」は、共同態から離れ、共同態的な集合態関係を対象化すること

 である。
 ↓
*このことを踏まえて(Y)を先に検討すると、

 イ・ロ「内」・・・共同態内の関係を対象化するという観点や、「内包的な解放」という

          表現とも合致する。
ハ「全」/ニ「間」/ホ・へ「全」・・・必然性がない。
 ↓
*そうすると選択肢はイ・ロに絞られる。(X)に入るのはどちらがよいのか。
 「第一の解放」は、共同態どうし連関の説明であるので、イ「全」ではなくロ「間」

  であるだろう。
ロ・・・正解


問十七 傍線部2「月が出ると全アフリカが踊る」あいだは、アフリカの近代化は完成

    しないだろう」とあるが、それはなぜか。最も適切なものを次の中から一つ選

    び、解答欄にマークせよ。 
*傍線部の理由説明問題。「月が出ると全アフリカが踊る」は(B)の要素。

  「近代化」は(A)の要素。(B)が近代化できない理由を、第二意味段落から探っ

  ていく。
〈解答への道筋・思考のプロセス〉
◆(B)の要素の説明
⑨「メキシコ人の人間評価の基準」=「共感的」「生きられる共時性」
   ↓
 「周囲の生成に浸透され、それと一体をなすと感じながら、それとともに調和をもっ

  て前進する能力」
  ↓
⑩「生きられる共時性というものが、近代的な社会のシステム(A)にとっては、無条

   件に肯定されうるものではない」
    ↓(なぜか)
 「時には( Z )な攪乱要因にさえなる」
  ↓
⑪「交通や郵便や官庁のシステムすべてが、それを担っている人間の、対象や愛してい

   る人間にたいする共感とあたたかさ」
    ↓(のゆえに)
  「 たえず攪乱され放置され、時間的にもその他の点でもまったく信頼のおけないもの

   にまでなっている」
  ↓
⑫「近代化のいわば、人間類型的な代償」( ハ )
   ↓
*ここまでを整理すると
1.生きられる共時性が近代的な社会のシステムにとって肯定しがたいのは
2.周囲の人間との一体感や共感とあたたかさによって
3.近代の社会システムが攪乱、放置され、信頼性が損なわれるから
◆近代化(A)の特徴(問十五を参照)
4.時間を客体化することで共同態をこえた協働連関を可能にし、
5.自由な個体性と自立した創造力とを発展させ
6,時間を外在化し、共時性から自立する主観性を獲得する
 ↓
*以上から選択肢を検討する。記述問題なら、「近代化とは4~6であるので、1~3

   は肯定されないから」とするのがよいだろう。
イ「官僚的な生き方が規範とされ」が誤り。本文に記述がない。
ロ「近代化は~共感を求めず」は言い過ぎ。「〈生きられる共時性〉を解体~達成され

 る」の方向が誤り。
 (K校は当初これを正解としていた。)
ハ「近代化は限られた共同態をこえた協働連関により推進される」「周囲との一体感や

 ~肯定されない」は本文の記述と一致する。・・・正解
ニ「不可避的」は言い過ぎ。周囲との共感的な生き方が社会システムから「抑圧され

 る」というのは方向が誤り。
ホ「近代化が時間の析出を通して達成される」というのが誤り。後半部分も誤り。(A)(B)が混濁している。


問十八 空欄( Z )に入る語句として最も適切なものを次の中から一つ選び、解答

    欄にマークせよ。
*空欄補充問題。空欄は、メキシコ人運転手の起こした事故の事例が書かれている第⑧

 段落と第⑩段落にある。問十七が参考になる。  
〈解答への道筋・思考のプロセス〉
◆(B)が(A)にとってどのような「攪乱要因」となるのか
⑧「列車の運転席で女ともだちとテキーラをのんでどんちゃんさわぎをした運転手」
 ・・・「共感的」(B)な存在
  ↓
*「近代化されたシステムの運転手としては( Z )である」(→大規模な列車事故を

 起こした
  ↓
⑨「かの列車運転手は、周囲の生成に浸透され、それと一体をなすと感じながら前進し

 ていた」
  ↓
⑩「生きられる共時性というものが、近代的な社会のシステムにとっては、無条件に肯

 定されうるものではない」
    ↓
 「時には( Z )な攪乱要因にさえなる」
 ↓
*つまり(B)は(A)にとって肯定できないばかりでなく、時には大事故も起こしか

 ねない攪乱要因にもなる、ということである。( Z )には相当強い言葉が入る。    
イ「教訓的」・・・(A)の脅威にはならない。
ロ「悲劇的」/ハ「絶望的」・・・同種の言葉で共倒れ。どちらも(A)の脅威にはなら

                ない。
ニ「破壊的」・・・適当である。
ホ「決定的」・・・中途半端な言葉。不適当。
★正解・・・ニ


問十九 傍線部3「それは社会的時間の支配の、〈夜警国家的〉な形態から、〈福祉的国

       家〉な形態への移行である」の説明として最も適切なものを次の中から一つ選

    び、解答欄にマークせよ。
*傍線部の内容説明問題。語句としての「夜警国家」とは国防や治安維持など必要最小

 限の機能だけを担い、民間経済や国民生活に介入しない「小さな政府」のこと。

 「福祉国家」とは国家の機能を安全保障や治安維持などに限定するのではなく、社会 

 保障制度の整備を通じて国民の生活の安定を図ること。
*本文に照応すると「夜警国家は」近代以前(B2)、福祉国家は近代(A2)という

 ことになる。近代の「時計の客体化」を通じて国民生活を管理する方向への移行につ

 いて、第三意味段落のテレビジョンの話題に触れながら説明する。
〈解答への道筋・思考のプロセス〉
◆「夜警国家」に関する記述(B2)
⑲「古典的な市民社会における「聖域」たるブラック・ボックスでもあった「私生

 活」」
⑳「かつての柱時計や目覚まし時計」
 「独自に積極的に家族生活の時間を編成するという主体性を持たず」
 「外部の市民社会の要求とかかわるかぎりの社会的時間の告知者にとどまった」
  「時計の消極性」
  「家族生活の内部をブラックボックスとして放置」
  「古典的な市民社会のシステム」
 ↓
かつての柱時計や目覚まし時計が積極的に時間を管理せず、外部の市民社会の要求と

 かかわるかぎりの社会的時間の告知者にとどまったように、国家は市民社会の「私生

 活」に積極的に関与せず、家族生活の内部をブラックボックスとして放置してい

 た・・・解答要素(X)
◆「福祉国家」に関する記述(A2)
⑭「一社会全体の生活が時計的に編成されている・・・近代社会の特質」
⑮「近代人の生活の時計化」
⑯「近代における国民的な義務教育、「普通教育」の主要な機能が」
  「時計的に編成され管理された生活秩序への児童の訓致にある」
   ↓
⑱「外的な「時間」の意識の最初の教育をほどこすのはテレビジョン」
⑲「テレビジョン・・・「私生活」の内部に、客観化され計量化され管理化された時間の

 秩序をうちこむ」 
㉑「テレビジョンが家族の生活時間をそれ自体として積極的に編成する力をもってい

 る」
  「〈提供するもの〉の相貌をもってあらわれる」
  「国民の、欲望の操作を媒介とする全生活の組織化である」
 ↓
★近代社会における生活の時計化は、工場や官庁、教育の分野で編成され、さらにテレ

 ビジョンが「私生活」の内部に、客観化され計量化され管理化された時間の秩序を導

 入し、国民の、欲望の操作を媒介とする全生活の組織化が行われるようになってい

 る・・・解答要素(Y)
 ↓
*(X)(Y)をもとに選択肢を検討する。記述問題ならこれらをまとめればよい。          
イ・・・正解。第三意味段落の内容と合致している。
ロ「テレビジョンは就労も通学もしていない人びとの時間も管理するようになった」の

 部分が本文にない。
ハ「時計化するシステムは古代より見られ、」は本文と同じだが、「その精緻化は近代に

 行われた」の部分が第⑬段落と異なる。
ニ「近代以前には見られなかった〈生活の時計化〉」が第⑬段落と合致しない。
ホ「大衆社会を完成させた」という着地点が本文に書かれていない。


問二十 本文の内容に合致するものを次の中から一つ選び、解答欄にマークせよ。

イ「近代的自我と不可分の孤立した個人も生み出した」という着地は本文に記述がな

 い。
  (K校は当初これを正解としていた。)
ロ「〈福祉国家的〉な形態に移行した国家を先取りするもの」が誤り。「(B)が(A)

 を先取りした」という記述になっている。
ハ「人びとを動員に駆り立てる装置」が誤り。本文に記述がない。「放送メディア」も

 大雑把すぎる。
ニ「効率的な作業システムの構築には関心を持たず」が誤り。本文はそこまでは述べて

 いない。「時計による生活時間の編成に対しても無自覚であった」も本文に記述がな

 い。
ハ・・・正解。第①段落、第③段落、第⑮段落を網羅している。

本文マーキング①

 

本文マーキング②

(四)現代文 宇野邦一「非有機的生」 10点(予想)
◎本文展開(マッピング)
第一意味段落(①~③) 
① 生政治学的状況=絶望的宣言
 ↓
② 生政治が全面化したという指摘
  例外・・・規則の外部に閉め出されながらも内部に包摂される
       「不分明な」領域にある人間=「ホモ・サケル」(聖なる人間)

③ アガンベンの指摘

  ・・・罪を犯したもの=例外状態/不分明な状況→「剥き出しの人間」
   ↓
  「主権」=このような例外状態を生み出す能力/例外状態を必要とする   
第二意味段落(④)
④ 残酷な戦争を生き延びて帰還した人間・・・例外的で不分明な状況におかれる
第三意味段落(⑤~⑪)
⑤ 詩人石原吉郎のシベリア抑留と帰国後の生涯・・・例外状態
   ↓
  例外的に過酷な抑留と強制労働/生きのびて故郷に帰るという例外的体験
  〈戦犯〉として拘束された〈例外者〉
       生きのびてしまったこと自体を罪責として重くかかえる
   ↓
  幾重にも重なる例外状態・・・精神に重くのしかかり、荒廃させてしまう
     石原吉郎・・・詩を書くことで例外状態を生きのび、荒廃を耐え、抗おうとした

⑥1例外状態をめぐるシニシズムという問題(=冷笑態度)
  例外者・・・例外状態をもたらす権力の客体となる
  抑留者・・・圧力を、みずから自己の心身を苛むようにして受け止めてしまう
  
⑦ 例外者となった主体が、荒廃をどう生きのびたか、いかに〈被害者〉の立場を拒ん

  だか
   ↓
  自らの行動主体を、政治的あるいは歴史的な力に解消してしまわないという決意
       石原吉郎・・・自らの体験を政治、歴史から切り離し、自己を行為者として再生しよ

                           うとする
        自らの体験は受動的、反動的なものではなく、主体によって選ばれたものという立

  場を構築

⑧ 石原吉郎・・・切断し飛躍する言語を、意味の極言に詩として結晶

⑨ 言語そのものに潜んでいる力の機構を引き裂き、意識のシニシズムをひび割れさせ

  るような言葉を見出さす必要

⑩ 生権力を行使する主権の「例外性」と、「ホモ・サケル」と呼ばれるような人間の

  例外状態
   ↓
  ホモ・サケルが客体とみなされている間は、論理的に同型に見える
   ↓
    2けっして同型的ではないのだ
   ↓
    そこに垣間見える〈生権力の外部の生〉について語る言葉と論理をさぐらなければな

 らない
    生の状況に引き裂かれてもなお生きのびるための言葉が書かれてきた

⑪ 政治制度と法的言語は、生命の外部にあり、生命は政治の中にも法の中にも包摂さ

  れていない
第三意味段落(⑫~⑯)
⑫ アガンベン・・・法と言語の「本質的な近さ」
   ↓
⑬ 言語と法・・・現勢力と潜勢力
   ↓
    3しかし言語と法は同じ形式ではない
   ↓(この観点にとって)
  法・・・言語の超越的使用/審判すべき権力関係
 ↓(このように)
⑭ 法ー言語にとって、外部とはあくまで内部に包摂されるべき例外
      ↓
  言語の外部に、言語が触知しえず、分節しえない生の次元が広がっている
  例外的なものの領域は、言語と法の外に果てしなく広がっている
 ↓
⑮ シニカルなトポロジーのなかにあっても、なおかつそれをさらに変形するトポロジ

  ーをつくりだす
   ↓
  生と政治の間には、審判し、例外とみなし、排除しつつ包摂するような力関係とは

  4別の脈絡が発見される
    ↓
  政治的対象としての生・・・管理しようと企てていたシステムに逆らう
     権利よりも生のほうが、政治的闘争の目的となった

⑯ 身体/生物の力学/をめぐる生政治に立ち戻る必要がある
   ↓
  恒常的な暴力と抵抗のほうに、恒常的な「例外化」に目を向けなければならない
    5生政治学は決して、法とともにある社会に綿々と存在してきた「例外状態」の一ケ

  ースにとどまりはしないのだ


◎設問解説
*本文は「生政治」が規則の外部にいる者を「例外状態」として扱うことの暴力性と、

 それに抵抗する動きについて述べた文章。後半部分は非常に抽象的で難しい。

問二十一 傍線部1「例外状態をめぐるシニシズムという問題」の説明として最も適切

     なものを次の中から一つ選び、解答欄にマークせよ。
*傍線部内容説明問題。傍線部は選択肢からも石原吉郎の事例を受けて述べている。
*「シニシズムという問題」なので、石原吉郎をめぐる例外状態がシニシズム(=生の

 肯定的努力や倫理を信じない態度)であったことが問題だった、ということ。第⑤段

 落~第⑥段落からその内容を探っていく。
〈解答への道筋・思考のプロセス〉
◆「例外状態」の内容
⑤「詩人石原吉郎のシベリア抑留と帰国後の生涯」
  →「抑留者もまた何重にも例外状態を生きることになった」
  ↓
 「例外的に過酷な抑留と強制労働」「生きのびて故郷に帰るという例外的体験」
  ↓
 「〈戦犯〉として拘束された〈例外者〉」
    ↓
 「極限状態で同胞たちの死を目撃してきた抑留者は、生きのびてしまったこと自体を

  罪責として重くかかえる」
 「幾重にも重なる例外状態」・・・「帰還者を不分明な宙吊り状態におく」「精神に重く

  のしかかり、荒廃させてしまう」
  ↓
 「詩を書くことで例外状態を生きのび、荒廃を耐え、抗おうとした」  
 ↓
★シベリア抑留は、過酷な抑留と強制労働という例外的体験をし、極限状態で同胞たち 

 の死を目撃して生きのびて故郷に帰ったことを罪責として感じ、精神に重くのしかか

 り、荒廃させてしまうが、石原吉郎は詩を書くことで例外状態を生きのび、 荒廃を

 耐え、抗おうとした・・・解答要素(X)
◆「シニシズム」の内容 
⑥「例外者は例外状態をもたらす権力の客体となり」
  「抑留者はソ連から、日本から、社会から、そしておそらく身内からも圧力を受

   け、  挟撃され、あるいは遺棄され」
  ↓
 「そのような圧力を、みずから自己の心身を苛むようにして受け止めてしまう」                 
    ↓
 「例外者を、あるシステムの客体(対象)とみなすことは、まさにシニカルな立場に

  立つこと」
 ↓
★石原吉郎のような過酷な体験をした例外者は、権力の客体となり、周囲の環境から圧

 力を受けたり遺棄されたりするうちに、そうした圧力を、みずから自己の心身を苛む

 ようにして受け止めてしまう・・・解答要素(Y)
 ↓
*筆者は(X)(Y)のような自体を「問題」と見ていることが分かる。
イ「システムの客体と見なされず」が誤り。「客体と見なされる」のである。「精神の荒

 廃が重かった」ことが問題なのではない
ロ「彼の立場がどこまでもシニカルだとしか認識されない」が誤り。「シニカル」なの

 は国家や社会、身内である。
ハ「生きのびてしまったこと自体を罪責としてかかえる帰還者だとは認識されない」が

 誤り。論点の方向が違う。
ニ「彼の精神を荒廃させるその罪責の重さが認識されない」の方向が誤り。精神の荒廃

 が認識されないのである。
ホ・・・正解。


問二十二 傍線部2「けっして同型的ではないのだ」の説明として最も適切なものを次

     の中から一つ選び、解答欄にマークせよ。
*傍線部内容説明問題。傍線部の主語は「主権の「例外性」と人間の例外状態」であ

 る。これが「同型的」ではないといっている。第⑩段落の内容を押さえる。
〈解答への道筋・思考のプロセス〉
◆人間の例外状態・・・問二十一の解答要素
⑩「生の状況に引き裂かれてもなお生きのびるための言葉が書かれてきた」
 ↓
★極限状態で死者たちを目撃してきた例外者は生きのびたこと自体を罪責として感じ、

 システムの客体と見なされたが、生の状況に引き裂かれてもなお生きのびるための言

 葉が書かれてきた・・・解答要素(X)
◆主権の「例外性」と同型ではないことの説明
⑩「そこに垣間見える〈生権力の外部の生〉について語る言葉と論理をさぐらなければ

 ならない」
 ↓
★人間の例外状態には〈生権力の外部の生〉が垣間見え、主権の例外性と同型ではな

 い・・・解答要素(Y)
イ「その論理は主権の「例外性」の前提となる」の部分が誤り。「前提」とはならな

 い。方向が違う。
ロ「〈生権力の外部の生〉の論理がある」「主権の例外性を強化」「自己を再生しようと

 する」の部分が、話題、方向ともに誤り。
ハ「〈生権力の外部の生〉についてもともと語っている」の部分が誤り。方向が違う。
ニ「〈生権力の外部の生〉についてもともと語っている」「主権の「例外性」が前提とさ

 れる」の部分が誤り。方向が違う。
ホ・・・正解。この程度の解答でよいのだろう。


問二十三 傍線部3「しかし言語と法は同じ形式ではない」の説明として最も適切なも

     のを次の中から一つ選び、解答欄にマークせよ。
*傍線部内容説明問題。第⑬段落~第⑭段落における、言語と法についての説明を拾

 い、両者の違いを押さえる。
〈解答への道筋・思考のプロセス〉
⑬「言語も、法も、そのように現勢力と潜勢力のレベルをもつ」
   ↓(同じ形式と見なす観点にとって)
 「法はすでに言語の超越的使用という性格を備えていて、法が審判すべき権力関係をと

  もなっている」(A)
  ↓(このように)
⑭「言語についても、法についても、逃れがたい例外性の形式的論理を適用することに

    集中している」
   ↓(その考察は)
 「力関係のなかで翻弄されて生きる主体の過程について語る言葉をもたない」(B)
      ↓
 「言語の外部に、言語が触知しえず、分節しえない生の次元が広がっている」(B)
 ↓
*まとめると
★言語も法も現勢力と潜勢力のレベルをもつが、同じ形式と見なされるのは、法が言語

 の超越的使用という性格を備えており、法が審判すべき権力関係をともなっているか

 らであり、逃れがたい例外性の形式的論理を適用した場合、力関係のなかで翻 弄さ

 れて生きる主体の過程について語ることはできず、言語の外部に、言語が触知しえず

 分節しえない生の次元がある。
  ↓
*この線に沿って選択肢を検討する。
イ「言語には触知しえず分節化死得ない生の次元を法がもっている」が誤り。法は生の

 次元をもってはいない。
ロ「言葉は例外性の形式的論理に集中している」が誤り。第⑭段落で法についても同様

 だと述べている。
ハ・・・正解。
ニ「力関係の中で~語るとき」が誤り。第⑭段落で「語る言葉をもたない」と言ってい

 る。「例外的なものが果てしなく広がっている」という表現も方向が違う。

 (K校は当初これを正解としていた。)
ホ「言葉は力関係のなかで翻弄される主体を指し示す」が誤り。言葉は主体を指し示し

 はしない。


問二十四 傍線部4「別の脈絡が発見される」の説明として最も適切なものを次の中か

     ら一つ選び、解答欄にマークせよ。
*傍線部内容説明問題。第⑮段落が解答範囲となろう。何が何と「別の脈絡」なのかを

 まず明らかにしておく。
*仮定条件が実は結果となる文脈・論理であることに気づくことが肝要。
〈解答への道筋・思考のプロセス〉
⑮「ホモ・サケルが~閉じたシステムの対象であり効果であるだけでなく」
   ↓
 「シニカルなトポロジー~をさらに変形するトポロジーをつくりだすなら」←仮定(条

  件)ということは結果的事象である。
 「生と政治の間には」(A)
 「審判し、例外とみなし、排除しつつ包摂するような力関係とは」(B)
 「別の脈絡が発見される」
   ↓
 「政治的対象としての生は」(A)
  「それを管理しようと企てていたシステム(B)に逆らうべく逆転させられる」
  「権利(B)よりも生のほうが(A)」
  「政治的闘争の賭金=目的となった」
   ↓
 「そのような逆転」
 ↓
*ホモ・サケルが閉じたシステムの対象であり効果であるだけでなく、政治的対象とし

 て管理するような力関係が逆転させられ、生のほうが政治的闘争の賭金=目的とする

 ことで、シニカルなトポロジーをさらに変形するトポロジーをつくりだす。
 ↓
*この線に沿って選択肢を検討する。
イ・・・正解
ロ「システムに逆らうように逆転させること」が誤り。システムに逆らうのではない。

  (K校は当初これを正解としていた。)
ハ「シニカルなトポロジーのなかにあっても」「いたるところで「逆転」を発生させる

 対象となる」が誤り。本文ではシニカルなトポロジーを変形するトポロジーをつくり

 だすのだと述べているし、「いたるところで「逆転」を発生」というのが本 文の記

 述とずれている。
ニ「生と政治の間に~力関係を発生させる」が誤り。本文では(B)とは別の脈絡が発

 見されると述べている。
ホ「政治的主体としての生を超越」が誤り。「超越」ではない。また「ハ」と同様に

  「シニカルなトポロジーのなかにあっても」も誤り。


問二十五 傍線部5「生政治は決して、法とともにある社会に綿々と存在してきた「例

     外状態」の一ケースにとどまりはしないのだ」とある。本文中の歴史的実例

     を踏まえつつ、筆者のこの結論がなにを言わんとしているのかについて、

      120字以上180以内で記述せよ。
*傍線部内容説明問題。解答の方針は以下の通り。
1.本文中の歴史的実例を取りあげる
2.リード文、本文全体、第⑯段落手がかりに「生政治学」についての筆者の主張をま

  とめる
*制限字数の幅が広いが、できるだけ180字に近い形で解答するの良い。
*筆者は「生政治」に関するアガンペンの説をやんわりと否定していることに注意す

 る。アガンベンの説に従って解答すると筆者の主張と正反対になってしまう。
〈解答への道筋・思考のプロセス〉
*各要素を冒頭から拾い直していくと時間がかかるので、これまでの正解の選択肢の文

 言を利用すると良い。
*現状を(B)、あるべき姿を(A)として整理する。 
◆本文中の歴史的実例について
問二十一の解答要素
★シベリアに抑留された石原吉郎は過酷な体験をしたが、詩を書くことで例外状態の被

 害書としてではなく、主体的な行為者として精神の荒廃に耐え、再生しようとし

 た。・・・解答要素(X)
◆「生政治学」についての筆者の主張をまとめる
リード文「(生政治)=ある人口集団の生死そのものを操作する政治」
①「例外はただ規則の外部に閉め出されながらも内部に包摂される」(B)
問二十二の解答要素
「人間の例外状態には〈生権力の外部の生〉が垣間見え、その生の論理は主権による例外化の力学とは異なる」(A)
⑪「生命は政治の中にも法の中にも包摂されていない」(A)
⑭「形式的に把握された法ー言語にとって、外部とはあくまで内部に包摂されるべき例

  外」(B)
問二十三の解答要素
「言葉は逃れがたい例外性の形式的論理の外を指し示す」(A)
⑭「言語の外部に、言語が触知しえず、分節しえない生の次元が広がっている」(A)
⑮「生と政治の間には、審判し、例外とみなし、排除しつつ包摂するような力関係

 (=B)とは別の脈絡が発見される」(A)
問二十四の解答要素
「政治的対象として管理(=B)されず、権利よりも生のほうを政治的闘争の賭金とすることで、シニカルなトポロジーを変形する別のトポロジーをつくりだす」(A)
⑯「ただ生政治の生み出す「例外状態」について考えているだけでは、決して解明でき

 ないことがある」
  「恒常的な暴力と抵抗のほうに、恒常的な「例外化」に目を向けなければならない」
 「生政治学は決して、法とともにある社会に綿々と存在してきた「例外状態」の一ケー

 スにとどまりはしない」
 ↓
*現状(B)の要素
1.現在の生政治とは政治が人間の生死を操作する政治である
2.形式的な法にとって、外部とはあくまで内部に包摂されるべき例外である
3.生と政治の間には、審判し、例外とみなし、排除しつつ包摂するような力関係がある
4.生は政治的対象として管理される
5.法とともにある社会に綿々と存在してきた「例外状態」の一ケース
 ↓
★生政治学は政治が人間の生死を操作し、規則の外部にあるものを例外状態と見なし排

 除しつつ内部に包摂する・・・解答要素(Y)
  *筆者の最終的な主張(A)の要素
1.生の論理は主権による例外化の力学とは異なる
2,生命は政治の中にも法の中にも包摂されていない
3,政治的対象として管理されず、権利よりも生のほうを政治的闘争の目的とする
4.恒常的な暴力に抵抗することが恒常的な「例外化」である
5.言語の外部に分節しえない身体としての生の次元が広がっている
6.生政治学は決して、法とともにある社会に綿々と存在してきた「例外状態」の一ケ

  ースにとどまりはしない
 ↓
★生政治学は主権による例外化の力学に抵抗することで、政治にも法にも包摂されな

 い、外部に広がる身体としての生の可能 性に目を向ける必要がある

 ・・・解答用青(Z)
 ↓
「(X)の事例から、(Y)ではなく(Z)であるべきだ」となるように表現を調え、

 180字以内で解答を作成する。限られた時間の中なので、できるだけこれまで正解と

 見なした選択肢の表現を利用するとよい。この程度の解答が書ければ十分である。

〈解答例〉
  石原吉郎は自身の過酷なシベリア抑の体験を詩に書くことで、例外状態の被害書としてではなく主体的な行為者として、精神の荒廃に耐え再生しようとしたが、生政治学は政治が人間の生死を操作し、規則の外部にあるものを例外状態と見なし排除しつつ内部に包摂することだけを意味するのはでなく、権力に包摂されない、外部に広がる身体としての生の可能性に目を向ける必要があるということ。(180字)

参考:大手予備校の解答例(HPに掲載しています)
〈K校〉
  シベリア抑留を生きのびた石原吉郎は、過酷な生の状況下、施策によって例外状態の被害者ではなく主体的行為者として再生を遂げた。生政治が生を覆い尽くしている今日、恒常的な暴力とそれにていこうしていきるこうした 主体の過程を解明するために、生政治学は、生政治の于も出す例外状態の考察にとどまらず、生権力の内部に包摂されるはずもなく外部に広がる生命にこそ目を向ける必要がある。(180字)
〈Y校〉
 生政治学は政治が生を全面的に支配し、規則の外部にあるものを例外状態として排除しつつ内部に包摂することだけを意味するものではない。シベリアに抑留された石原が故国で何重もの例外状態を生き、精神の荒廃に耐えつつ意味の極限としての詩を結晶させることでそれに抗ったように、生政治学には政治や法に包摂されない身体的な生の広がりと意味を明らかにする可能性があるということ。(179字)

本文マーキング①

本文マーキング②

本文マーキング③

 

2026年度京都大学国語文系第3問古文 解答解説

 こんにちは。大学受験「天晴」塾のbackbeat-akaです。

 2026年度京都大学国語 古文問題を掲載します。

 ここ最近(10年くらい)の京大古文は、易化して取り組みやすくなっています。

 以前(2000年前後)のような、難解な和歌を現代語訳するとかの問題は影を潜め、基本的な古文の知識と国語の運用能力があれば正解できる問題になってきています。

 その意味では東大の問題と類似してきたと言えます。

 解答字数は京大の方がはるかに多いのですが。

 今回は「木草物語」という、マイナーな作品からの出題でした。

 大手予備校のテキストには文章が載っていることがあります。

 余談ですが2026年は、東大古文の問題文が、そっくりK予備校のテキストに載っていました。驚きですね。

 受験生の皆さんは、できるだけ多くの文章にあたって下さい。

 古文漢文は出典に限りがありますので、もしかしたら「見たことある!」という問題に巡り会うかもしれません。

 

backbeat.hatenablog.com

2026年度京都大学国語第3問(文系古文)宮部万女「木草物語」

2026年度 京都大学国語 文系第三問(古文)「木草物語」解答解説  (50点)

★京大の古典で要求されていると考えられる力
①現代語訳の力
→直訳・逐語訳が基本だが、適宜言葉を補ったり意訳したりして整える必要もあると考 

 えられる(最終的に、内容が読み取れ ていることが示せなければ評価されない)。

 現代語訳の問題を含めて全ての設問の根底にこの現代語訳がある。
②基本的な読解力
→主語判定の技術(敬語や接続助詞に適宜着目する)や和歌の読解の技術などがしばし

 ば要求される。
③背景知識(文学史や古典常識)や文章構造(対比・対応など)から細部を推理する力
④設問への対応力
→設問の要求にきちんと答えて答案を作る力(→対話能力)と、設問のタイプに応じて

 合理的に解答を導いていく力とに分けられる。
⑤総合的な言語運用能力
→自分が使う言葉を客観視できるかどうか(きちんと相手に伝わる表現になっているかどうか)、「言葉の位相」を的確につかんだ上で語句の意味、内容を読み取ったり、答案をまとめたりできるかどうかなど。

【出典】「木草物語」
*「木草物語」は近世の擬古物語。例年と異なり、有名ではない作品からの出題だっ

 た。
*今回は漢文、漢詩の問題は出題されなかったが、二年前やそれ以前には出題されてい

 るので、漢文や漢詩を読む練習はしておきたい。
*現代語訳は、人物の補い、指示内容の具体化など解りやすい丁寧な現代語訳が要求さ 

 れている。文脈を踏まえた現代語訳の練習が必要である。
*本文に二首和歌があり、一首が心情説明問題であった。和歌についての修辞、現代語

 訳、内容説明などの対策は必ずしておきたい。

問一 波線部(A)(B)の「くちをし」について、それぞれ誰の、どのような気持ち

   をあらわしているか、説明せよ。(各3行 10点)
*内容説明問題。説明問題解答のポイントは以下の通り。
★問われている箇所の逐語訳を行う。(傍線部、または説明の該当箇所の逐語訳)
★現代語訳と同じ手順で、自分の理解内容の補い(人物・前提条件・理由など、事実関係

 を明確にするために必要な要素・言い換え)を加える。
★現代語訳を土台にして、問題文の流れ(主張・論理・状況・登場人物の心理など)を踏

 まえながら、問題文が初見である人にも理解できるように書く。
★結論的に書く。傍線部が反語表現ならひっくり返した内容を解答する。
★敬語表現はカットする。
★人物呼称は客観的呼称(誰であるのかがはっきりわかる呼称)で書く(補う)。
(A)
*「くちをし」は「残念だ」が代表的な意味。何が残念なのか、波線部までの展開を確

 認する。
「ならの式部卿のみこと聞こえさせ給へるは」

 =奈良の式部卿のみこと申し上げなさった人は
「先帝の御弟みこにて」=先帝の弟君で
「今の内の上の御をぢにてぞおはしましける」=今上帝の叔父上でいらっしゃった
「当代御位の折、坊にもゐさせ給ふべかりしを」

 =先帝御在位の時、皇太子におつきなさるはずだった
「あやしういはけなくおはしますころより御物の怪になやみ給ひて
 =不思議なことに幼い頃から物の怪にかかってご病気になり
「常にあつしうのみおはしましければ」=常に具合が悪くていらっしゃったので
「その才はかけ離れ給ひけるに」=非常に高い学識をお持ちであった
 ↓
*以上の内容から、解答要素を整理すると、
①式部卿のみこは高い学識を持っていたにもかかわらず
②幼い頃から物の怪を患って常に具合が悪く
③本来なら皇太子になるはずであったのにかなわなかったことが
④「いと口惜しき」=たいそう残念なことであった
⑤誰が「口惜し」と思ったのか→作者。「式部卿のみこ」と誤らないこと
 ↓
*①~⑤の表現を整えてまとめる。解答欄は3行なので、1行25文字として、75字前後

 で解答を作成する。

〈解答例〉
 作者の、式部卿のみこが高い学識を持っていたのに、幼い頃から物の怪を患って常に具合が悪く、本来なるはずの皇太子になれなかったことを、たいそう残念に思う気持ち。(77字)

→10点=①~⑤・・・各2点(減点法)。単語の解釈等の誤りは1点ずつ減点。
*参考 大手予備校の解答例
〈S校〉
 筆者の、式部卿のみこが、学識は抜群であるのに、幼い頃から物の怪をわずらっていつも病気がちであったので、皇太子になれなかったこをを残念に思う気持ち。(72字)
〈K校〉
 作者の、皇太子になるべき地位と才学を持ちながら、なぜか幼い時からの物の怪による重病で皇太子になれなかった式部卿のみこの宿縁を、残念に思う気持ち。(76字)
〈T校〉
 語り手の、先帝の弟で抜群の学才を備える式部卿のみこが、幼い頃から物の怪のために常に病気がちで皇太子になれず、後見する人もなくむなしく日々を送っていることを、残念に思う気持ち。(86字)

(B)
*波線部は吉野の阿闍梨の加持祈祷で病が寛解した後の式部卿のみこの会話部分であ

 る。まずこの事実から確認していく。
「阿闍梨はいみじき山のかひともてかしづき奉りて」

 =阿闍梨は効果があるように大切に世話をし申し上げ
「真心に御加持参り、祈り奉りしにや」

 =真心を込めて加持祈祷申し上げ、祈り申し上げたのであろうか
「二三日おはします程に、御心地いとさはやかにぞおぼえ給うける」
 =二三日お過ごしになるうちに、ご気分がたいそうすがすがしく思われなさった。
 ↓
*加持祈祷の結果、病が治った式部卿のみこはどのようなことを思ったのか。
「今までかかる人おはすとも知らで過ぐしけるこそ、わりなけれ」
 =今までこのような方がいらっしゃることを知らないで過ごしてきたことが道理に合

  わない。
「年月むもれいたかりし心地の名残なう、例ざまにおぼゆるは、いと尊きことかな」
 =長年晴れ晴れとしなかった気分の名残がなくなり、正常な気分がするのはたいそう

  尊いことだなあ。
「仏の御しるしはこよなかりけるものを」=仏の御霊験はこの上なかったなあ。
 ↓
*改めて仏の霊験あらたかなことに感じ入っている。
「まろもいにしへより本意遂げなんの心深かりしを」

 =私も昔から本来の目的をきっと遂げようとの心が強かった。
「日ごろ病にのみ障へられてなん、くちをしういたづらに世をば過ぐしぬるぞや」
 =毎日病気にばかり妨げられて、残念で無駄に過ごしてきたのだなあ。
  ↓
*ここでの「本意遂ぐ」とはどのような目的なのか判然としないので、続けて読んでい

 くと
 ↓
「さるは、命長らへんためばかりに、頭下ろしなどするたぐひあれど、おなじうはかひなきものから」
 =というのは、長生きしようと思うあまりに、出家などする例はあるけれども、この

  まま俗世に住み続けるなら無駄であるが、
「背くとならばかかる山にこもり果てて、世をふたたび見ぬこそ」
 =出家するということならばこのような山にずっと籠もって、俗世を再び見ないこと

  が」
「心もすみて、行ひも一筋にたのもしかりぬべけれ」
 =心も澄んで、仏道修行も一心にできて成果が期待できるに違いないだろう
  ↓
*この辺りまで読んで、「本意遂ぐ」=出家することだと分かる。整理すると
①式部卿のみこは吉野の阿闍梨の加持祈祷によって病が治り
②改めて仏の霊験あらたかなことに感じいり
③長年、出家したいという思いが
④普段は病気のために妨げられていて
⑤無駄に過ごしてきたことを残念に思っている
 ↓
*①~⑤の表現を整えてまとめる。解答欄は3行なので、1行25文字として、75字前後

 で解答を作成する。

〈解答例〉
 式部卿のみこは加持祈祷によって病が治り、改めて仏の霊験に感じ入り、以前から思っていた出家の意志が、普段の病気に妨げられて過ごしてきたことを残念に思う気持ち。(77字)

→10点=①~⑤・・・各2点(減点法)。単語の解釈等の誤りは1点ずつ減点。
*参考 大手予備校の解答例
〈S校〉(74字)
 式部卿のみこの、昔から出家の念願をかなえたい気持ちが強かったけれども、普段は病気に妨げられてばかりで、出家できずに過ごしてきたことを残念に思う気持ち。
〈K校〉(74字)
 式部卿のみこの、吉野の阿闍梨の修法で病が寛解し、仏の霊験の尊さを思い知ったことで、長年出家したいと思いつつ病で果たせずにいたことを、残念に思う気持ち。
〈T校〉
 式部卿のみこの、加持により病が癒え、改めて仏の霊験に感じ入ったことで、以前から深く念願していた出家が病気に妨げられて実現できないまま日々を過ごしてきたことを、残念に思う気持ち。(87字)
*総じて(A)(B)は取り組みやすく、(B)までの文章も難解ではない。ぜひ得点し

 ておきたいところ。


問二 傍線部(1)を、適宜ことばを補いつつ、現代語せよ。(4行 10点)
*条件付き現代語訳問題。主体は式部卿のみこ。これを必ず補うこと。
*傍線部の場面は、物の怪を患っていた式部卿のみこが、吉野の山の阿闍梨のもとを訪

 れて加持祈祷を受ける場面である。
*さらに傍線部の直前
「弥生はじめつ方の事なれば」=旧暦三月のはじめのことであるので
とあるので、吉野の山の桜が満開であることを示している場面である。
①「名にしおふ」=(桜の名所として)有名な
②「花の盛り」=吉野の山の桜が盛りである
③「ゆかしう」=見たいと
④「思して」=お思いになって
⑤「多くは」=たいていは/大方は/主な理由は
⑥「もよほす」=促す/せき立てる
⑦「れ給ふ」=「れ給ふ」「られ給ふ」の「れ」「られ」は尊敬にはならず、受身か自

 発。ここでは自発と判断する。
⑧「なりけり」=であるのだなあ。「なり(断定)けり」の「けり」は詠嘆。ここでは

  「気づき」と判断。
*解答欄は3行なので、1行25文字として、75字前後で解答を作成する。「多くは」の

 解釈が難しい。

〈解答例〉
 式部卿のみこは 桜の名所として有名な 吉野の山の桜の花盛りを 見たいと お思いになって、吉野へお出かけになる主な理由は それにせきたてられ なさっている のであるなあ。(76字)

→10点=①~⑧・・・各1点(減点法)。主体が書かれていない場合は0点。
*参考 大手予備校の解答例
〈S校〉(74字)
 式部卿のみこが吉野の阿闍梨のもとに赴きなさったのは、有名な吉野の山の桜の花盛りを見たくお思いになって、だいたいはその気持ちに促されなさるからであった。
〈K校〉
 有名な桜の名所である吉野の花の盛りを見たいと式部卿のみこは思いなさって、吉野へのお出ましは、かなりの部分は花への興味に促されなさったのであった。(71字)
〈T校〉
 式部卿のみこは、桜の名所として有名な吉野の花の盛りを見たいとお思いになり、概ねはそれが発端で吉野へお出かけになろうという気持ちをかき立てられなさったのであった。(79字)
 

問三 傍線部(2)を現代語訳せよ。(3行 10点)
*現代語訳問題。傍線部は阿闍梨の加持祈祷によって患いが治った式部卿のみこが、阿

 闍梨に語っている部分である。
*傍線部の少し前からの内容を確認する。(B)と重複する。
「仏の御しるしはこよなかりけるものを」=仏の御霊験はこの上なかったなあ。
「まろもいにしへより本意遂げなんの心深かりしを」
 =私も昔から本来の目的(出家の意思=(B))をきっと遂げようとの心が強かっ

  た。
「日ごろ病にのみ障へられてなん、くちをしういたづらに世をば過ぐしぬるぞや」
 =毎日病気にばかり妨げられて、残念で無駄に過ごしてきたのだなあ。
「さるは、命長らへんためばかりに、頭下ろしなどするたぐひあれど、おなじうはかひなきものから」
 =というのは、長生きしようと思うあまりに、出家などする例はあるけれども、この

  まま俗世に住み続けるなら無駄であるが、
 ↓
*以上を踏まえて傍線部を検討すると
①「背くとならば」=出家するということならば
②「かかる山にこもり果てて」

  =このような山に最後まで籠もって (「~果つ」=最後まで~する)
③「世をふたたび見ぬこそ」=俗世を再び見ないことが
④「心もすみて」=心も澄んで
⑤「行ひも」=仏道修行も
⑥「一筋に」=一心にできて
⑦「たのもしかりぬべけれ」

  =成果が期待できるに違いないだろう  (「ぬ」=強調・確述表現)
*解答欄は3行なので、1行25文字として、75字前後で解答を作成する。

  「背く」=「出家する」と解答できるかどうか。

〈解答例〉
 出家するということならば、このような山に最後まで籠もって 俗世を再び見ないことが、心も澄んで 仏道修行も 一心にできて 成果が期待できるに違いないだろう。(72字)

→10点=①~⑦・・・各1点(減点法)。「背く」=「出家する」と解答できないと大幅減

 点になる可能性あり。
*参考 大手予備校の解答例
〈S校〉(75字)
 出家するということならば、このような山にずっと籠もって、俗世に二度と戻らないのが、心も安らいで、仏道修行も専心でき極楽往生もきっと期待できるに違いない。
〈K校〉
 出家するならこのような山に最後まで籠もって、俗世を二度と見ないことが、心が濁りなく澄んで、仏道修行もゆるぎなく、修行の成果が期待できるに違いない。(72字)
〈T校〉
 出家するならこの吉野の山のような場所に生涯籠もって、俗世を再び見ずに過ごしてこそ、心も澄んで、仏道修行に専念できることもきっと期待できるだろう。(71字)


問四 傍線部(3)の和歌は、阿闍梨のどのような気持ちをあらわしているか、説明せ

   よ(4行 10点)
*和歌にかかわる心情説明問題。傍線部の阿闍梨の歌は、式部卿のみこの歌を受けての

 返歌である。
*さらに、式部卿のみこの歌はその前の、夕暮れの寺で風に吹かれて散る桜の美しさに

 感動して詠んだ歌である。
*これらのことを踏まえてまず式部卿のみこの歌を解釈すると
「よそながら」=吉野から離れた都にいて
「聞きてしたひし面影は」

 =有名な桜の噂を聞いて以前から心を寄せていた桜の花の姿は
「雲にも似ずよ」=雲とは比べようもないほど美しいなあ。
「み吉野の花」=この吉野の見事な桜の花は
 ↓
*これを受けて阿闍梨の返歌を解釈するのであるが、
「かひある」とは、どのような甲斐があるのか。
「年へしはな」=桜の古木のことをいうのであろう。
「色ぞ添ひぬる」=「色を添えた」とは桜の花が+喜ばしいことをいう。

どのようなことが喜ばしいのか
 ↓
*そこで本問が最終問題であることと解答欄が4行であることを勘案し、本文全体の内

 容を踏まえて、阿闍梨の素性を含むこれまでのいきさつをおさらいしておく。
◆式部卿のみこの事情
①幼い頃から物の怪を患って常に病気がちであった
②吉野の山の阿闍梨に加持祈祷をしてもらったところ、治った。
③桜の名所として有名な吉野の山に来て、出家して阿闍梨の弟子になりたいという気持

 ちを持った
◆阿闍梨の事情
④高齢になるこれまで仏道修行に専念してきた
⑤高貴な式部卿のみこを迎えて気持ちが華やいである
 ↓
*①~⑤の要素と、和歌の解釈を踏まえると以下のようになる。
⑦吉野の桜の花は春を待った甲斐があって見事に色濃く咲いたように
⑧出家して阿闍梨の弟子になりたいとまで言う式部卿のみこをお迎えできて喜ばしい
⑨高齢になるこれまで仏道修行に専念してきた甲斐があり晴れがましい
 ↓
*⑦~⑨をまとめる。和歌の説明であるので、物=自然の景物を例えとし、心情を 主想として説明することを心がける。
*解答欄は4行なので、1行25文字として、100字前後で解答を作成する。

〈解答例〉
 吉野の桜の花は春を待った甲斐があって見事に色濃く咲いたように、出家して弟子になりたいとまで言う式部卿のみこをお迎えできて喜ばしく、高齢になるこれまで仏道修行に専念してきた甲斐があったと晴れがましい気持ち。(101字)

→10点=①~⑦・・・各3点(減点法)。着地点が間違っている解答は0点。
*参考 大手予備校の解答例
〈S校〉
 吉野の山の桜が春を待ち迎えて今年はさらに色も濃くみごとに咲いたように、式部卿のみこをお迎えできて晴れがましく、吉野の山奥で長年仏道修行して過ごしてきた甲斐があったと光栄に感じている気持ち。(93字)
〈K校〉
 吉野の山深いところで八十歳を迎えるまでの長い間ひたすら仏道修行に打ち込み、その甲斐あって、阿闍梨の弟子になりたいと申し出る高貴な式部卿のみこに出会えたことを、名誉に思い喜ぶ気持ち。(89字)
〈T校〉
 自分が籠もっている吉野の山奥に、高貴な式部卿のみこを迎え、出家して弟子になりたいという申し出まで受けて、春を待ち迎えて桜の古木が色づくように、年老いた自分も誇らしく思われて気持ちが華やぐようであると、式部卿のみこの来訪を喜ぶ気持ち。(115字)

 

 

 

2026年京都大学国語文系第2問 解答解説

 こんにちは。大学受験「天晴」塾のbackbeat-akaです。

 2026京都大学文系第2問の解説を掲載します。

 高浜虚子の文章は文語体で難しい熟語もあって、少し読みにくいですが、

設問の難易度は高くありません。

 基本的に傍線部周辺の部分要約で解答することが出来ます。

 問四と問五の傍線が近接していて、解答要素の絞り込みに多少手こずるかも知れません。

 詳しくは解説をご覧下さい。

backbeat.hatenablog.com

2026年度京都大学国語文系第2問 高浜虚子「写生趣味と空想趣味」

2026年 京都大学 文系第二問 高浜虚子「写生趣味と空想趣味」(文50点)
                             
第一意味段落(①)
①    河東碧梧桐「俳諧漫話」・・・写生的の趣味(B)に重きを置く →進歩せるもの
第二意味段落(②)
② 正岡子規の説・・・
  夕顔の花・・・以前の空想的の感じは全く消え去りて新しい写生的の趣味が独り頭を

         支配するやうになる(B)
   ↓
  (1)「以前の空想的の漢字が全く消え去る」といふことについては少なからず不安

    の念と不平の情とを禁じ得なかった
       ↓
  夕顔の花に対する空想的の感じを一掃し去る
  ・・・古人がこの花に対して附与してくれた種々の趣味ある連想を破却するもの
       ↓
     一半の美は源氏以来の歴史的連想即ち空想的趣味の上にある(B)
  一半の美は源氏以来の歴史的連想即ち空想的趣味の上にある(A)
   ↓(しかるに)
  全く空想的趣味を除き去るといふ事は花の一半の美を殺ぎ去るもの
第三意味段落(③~④)
③ 空想趣味(A)・・・春雨なる句を作る場合(例)
     古人の詩歌、事蹟、その他種々の連想を有意識若しくは無意識のうちに想起する
   ↓
  始めて春雨の濃艶な趣味を了得する
   ↓
④ 写生趣味の句・・・客観の事実をありのままに写したもの(B)
   ↓(しかしながら)
  ・・・作者の胸中に醸し成された空想趣味の働き(A)
   ↓(例)
     これは春雨に配合するのに調和がよい、これは悪い、と区別を附け得るのは空想趣

  味の判断(A)
       ⇕
  写生・・・春雨の降りつつある中に見る処のものであればすべて春雨の趣味あるもの

       としなければならぬ(B)
       ↓
  (2)これはむしろその弊といつてもよからう
      ↓
  空想趣味・・・幾百千の事実のうちわづかに一二の事実のみをと特に春雨らしき材料

         として認めるばかり
   ↓
  (3)我らの祖先より漸次踏襲して来た、言を換ふれば古人が一握りづつの土を運

      んで築き上げてくれた趣味で、我らがアダム、イヴの如くこの上に降下して

                 ただちに感得し得る趣味ではない
第四意味段落(⑤)
⑤ 写生趣味(B)・・・
    空想趣味のややもすると陳腐に陥る嫌ひがある 

    →新しい方面を開拓しようとするところのもの
     古人が一握りずつの土を運んで築き上げてくれた趣味の上にさらに一握りの土を加

  へようとするところのもの
  はじめてこの土に降下したものとして、ただちに自然より春雨の趣味を感得せんと

  するところのもの
   ↓
  文学美術の萎微はすべて古人の思想形式を踏襲し模倣するところから起こる
     文学美術の興隆はすべて古人の思想形式を打破し刷新するところから起こる
   ↓
  しかしこの打破刷新なるものは、始めはその勢はなはだ猛烈でややともすれば
  (4)玉石ともに焚くの恐れがある
   ↓
  写生趣味が一切の空想趣味を打破し去つて別に一天地を想像しようとする

  ・・・半ば功を貽して半ば害を貽す
   ↓
     功・・・その目的を達し斬新なる境地を開拓する
  害・・・古人がせつかく一握りづつの土を運んで築き上げた趣味を傷つくる
   ↓(しかれども)
  打破刷新・・・歳月を閲するに従つて漸くにその鋒鋩を鈍くして
   ↓
    かの一握りの土によつて築き上げられた空想趣味も、また必ずしも棄つべきもので無

 くて
   ↓
  (5)その一半の功を収めたりとして居つた一境地開拓も、必竟その空想趣味のう

    えにさらに一握りの土を加へたのに過ぎぬ事を知るに至る


◎設問解説
*俳句における写生趣味と空想趣味という二つの姿勢について、「夕顔」と「春雨」と

 いう具体的事例を用いて述べている随筆。

問一 傍線部(1)のように筆者が感じたのはなぜか、「夕顔」に即して説明せよ。

   (3行 10点)
*内容説明問題。第②段落の傍線部以降に筆者の考えが示されているのでここをまとめ

 る。
〈解答への道筋、思考のプロセス〉
②「夕顔の花に対する空想的の感じを一掃し去るといふ事は」
    「古人がこの花に対して附与してくれた種々の趣味ある連想を破却するもの」
  ↓
夕顔の花に対する空想を一掃してしまっては、夕顔の美の半面を破却することにな

 る・・・解答要素(X)
②「(夕顔の花)」
 「一半の美はその花の形状等目前に見る写生趣味の上にある」
 「一半の美は源氏以来の歴史的連想即ち空想的趣味の上にある」
 ↓
夕顔の美は花の形状等目前に見る写生趣味と古典文学作品が付与した歴史的連想即ち

 空想的趣味の上にある・・・解答要素(Y)
 ↓
*(Y)→(X)の順に解答を作成する。
*「不安の念」と「不平の情」は分けて説明する必要はないが、「子規の言葉に納得が

 いかなかったから」という着地にするのがいいだろう。
*解答欄は三行なので、一行25字程度として75字前後で解答を作成する。解答例はやや

 長いがこれ以上削りようがない。

〈解答例〉
 夕顔の美は目前に見る写生趣味と空想的趣味の上にあると考える筆者にとって、空想を排除してしまえば夕顔の美の半面をを殺ぐことになり、子規の説に納得がいかなかったから。(80字)

*参考 大手予備校の解答例
〈S予備校〉
 夕顔の花の美が花の形状等目前に見る写生趣味と歴史的連想即ち空想的趣味との上にあるとかんがえる筆者は、空想的感じが全く消え去るという子規の言葉に納得がいかなかったから。(82字)
〈K予備校〉(74字)
 子規が、観察の徹底により見出される美を説く点には共感できたが、源氏以来の歴史的連想を一切排除すべきとしたのは、夕顔の美の半面を否定すると思われたから。
〈T予備校〉
 眼前の花の風情と古典文学作品が付与した空想的な情趣とが相まって夕顔の美が生成されるのであり、空想を一掃してしまっては、夕顔の美の半ばを殺ぐことになると思ったから。(80字)


問二 傍線部(2)はどういうことか、説明せよ。(4行 10点)
*内容説明問題。「これ」の指示内容を説明し、「その弊」となるものを説明する。
*写生趣味が空想趣味を欠くことの弊害を指摘する。解答範囲は第③段落と第④段落前

 半。
◆「これ」の指示内容
④「もし写生すれば善いといふ事になつてしまへば」
  「写生趣味に重きを置くものからいふととかく左様になりたがる傾きがある」
 ↓
空想趣味の働きを欠いて写生趣味に重きを置くこと(1)
◆「空想趣味」の説明
「古人の詩歌、事蹟、その他種々の連想を有意識若しくは無意識のうちに想起する」 (2)
 ↓
*(1)+(2)
古人の詩歌、事蹟、その他種々の連想を有意識若しくは無意識のうちに想起するとい

 う空想趣味の働きを欠いて写生趣味に重きを置くこと・・・解答要素(X)
◆「その弊」の説明・・・写生趣味のマイナス面の指摘
④「目前に迫る数限り無き事実のうちより特にこれらの事実を探り出すのは作者の胸中

 に醸し成された空想趣味の働き」 
 「これは春雨に配合するのに調和がよい、これは悪い、と区別を附け得るのは空想趣

 味の判断」
 「春雨の降りつつある中に見る処のものであればすべて春雨の趣味あるものとしなけ

 ればならぬ」
 ↓
つまり、眼前の客観的な事実を単純に写しただけのものが写生趣味であり、目前に迫

 る数限り無い現象の中から風情あるものを見つけ出すことができるのが空想趣味とい

 うことになる・・・解答要素(Y)
 ↓
*(X)(Y)を表現を整えて統合する。
*解答欄は四行なので、一行25字程度として100字前後で解答を作成する。この程度の

 解答でよい。

〈解答例〉
 古人の詩歌、事蹟、その他種々の連想を意識的または無意識に想起するという空想趣味の働きを欠くと、写生趣味は眼前の客観的な事実を単純に写しただけなので、無数の現象の中から風情あるものを見つけ出すことができなくなるから。(106字)

*参考 大手予備校の解答例
〈S予備校〉(113字)
 古人の詩歌、事蹟、その他種々の連想を意識的または無意識に想起するという空想趣味の働きを欠くと、写生趣味は詩趣の有無の判断が出来ず、目前にある無数の事実を写した浅薄な作句になり、新趣を生むのではなく、かえって妨げになるということ。
〈K予備校〉
 陳腐さを脱しようとして眼前の対象をありのまま写すことは、先人が練り上げてきた多様な連想をいかに取捨選択し、巧みに配合するかという工夫を無視してしまうという点で、かえって陳腐な作を生んでしまうということ。(100字)
〈T予備校〉
 眼前の事物、現象の全てを句の素材とするのが写生趣味のようであるが、数限りない事物、現象から対象の風情を最もよく表現しうる素材を選択するのは空想趣味に他ならず、写生一辺倒のやり方は対象の風情の把握を妨げかねないということ。(109字)


問三 傍線部(3)はどういうことか、「春雨」を例にして説明せよ。(3行 10点)
*理由説明問題。傍線部の主語は「この空想趣味」。第④段落後半を「春雨」を素材に

 して説明する。
*「アダム、イヴ」の比喩は第⑤段落にも同種の表現があるので参考にする。
〈解答への道筋、思考のプロセス〉
◆「春雨」に関する「空想趣味」の説明
④「これは春雨に配合するのに調和がよい、これは悪い、と区別を附け得るのは空想趣

 味の判断」
 「これも春雨の趣味がない、それも春雨の趣味がないそれも駄目、これも駄目と」
  ↓
  「かくして幾百千の事実のうちわづかに一二の事実のみをと特に春雨らしき材料とし

   て認めるばかり」  
 ↓
春雨が降る幾百千の事実から風情ある事実だけを選別する・・・解答要素(X)
  ↓(それは)
◆「我らの祖先より漸次踏襲して来た、言を換ふれば古人が一握りづつの土を運んで築

 き上げてくれた趣味」
 =古人が永い年月の中で積み重ね、築き上げてきた風情・・・解答要素(Y)
 ↓
◆「アダム、イヴの如くこの上に降下してただちに感得し得る趣味」
⑤「はじめてこの土に降下したものとして、ただちに自然より春雨の趣味を感得せんと

 するところのもの」(ではない)
 ↓
歴史的経緯なしに春雨を見た瞬間に感得できるもの(ではない)・・・解答要素(Z)
 ↓
*(X)(Y)(Z)の内容を整理して統合し、解答を作成する。
*解答欄は三行なので、一行25字程度として75字前後で解答を作成する。

〈解答例〉
 春雨が降る幾多の事実から風情あるものだけを選別する感覚は、古人が永い年月の中で積み重ね築き上げてきた風情であり、春雨を見た瞬間に感得できるものではないということ。(80字)

*参考 大手予備校の解答例
〈S予備校〉
 春雨が降る際の無限の事実から、春雨と調和し、濃艶な詩趣をもたらす事実だけを識別する想起は、古人が着実に蓄積してきた連想であり、人が自然から感受しうるものではないということ。(85字)
〈K予備校〉
 春雨を見てそこから連想する多様な情趣は、先人が長年の間に少しずつ洗練させた春雨の美に由来しており、鑑賞者個人が見た瞬間に直観する類いのものではないということ。(78字)
〈T予備校〉(76字)
 春雨の持つ風情は、永い年月にわたる個人の一つ一つの詩歌や事蹟などの積み重ねで築き上げられたものであり、春雨に無心に対して感得できるものではないということ。


問四 傍線部(4)はどういうことか、説明せよ。(3行 10点)
*内容説明問題。「玉石ともに焚く」とは、よいものも悪いものも共に滅びる、という

 意味。「玉」「石」それぞれについて説明する必要がある。
*傍線(5)との距離が近いが、(5)は俳句に関する設問、(4)は芸術一般に関する

 設問、と区別すればよいだろう。

*このように傍線部が近接している場合は、先に設問を見て、大まかな解答の方針を立

 てるとよい。ただし、試験中に受験生がそこまで考えが及ぶかどうか。
〈解答への道筋、思考のプロセス〉
◆「玉石ともに焚くの恐れ」の主語・・・「この打破刷新」
⑤「この打破刷新の功を奏せんためであった」
  ↓
◆「打破刷新」とは何をすることか
 「およそ文学美術の萎微はすべて古人の思想形式を踏襲し模倣するところから起こ

 る」
  「およそ文学美術の興隆はすべて古人の思想形式を打破し刷新するところから起こ

 る」
  ↓
文学美術の興隆のために古人の思想形式(=旧弊)を打破し刷新すること

 ・・・解答要素(X)
◆「玉」「石」の意味するもの
 「写生趣味が一切の空想趣味を打破し去つて別に一天地を想像しようとする」  
    ↓
 「半ば功を貽して半ば害を貽す」
  「功はその目的を達し斬新なる境地を開拓する」
 「害は古人がせつかく一握りづつの土を運んで築き上げた趣味を傷つく」
 ↓
つまり「玉」は古人が積み上げ継承してきた伝統的趣味であり、「石」はそれらが過

 度な刷新によって損なわれることである・・・解答要素(Y)
 ↓
*(X)(Y)の内容を整理して統合する。「写生趣味」の話題を書かないことがポイン

 ト。
*解答欄は三行なので、一行25字程度として75字前後で解答を作成する。

〈解答例〉(76字)
 文学美術の興隆のために旧弊を打破し刷新することは、勢いに任せて過度に行うと旧弊だけでなく古人が積み上げ継承してきた伝統的趣味を損なう恐れがあるということ。

*参考 大手予備校の解答例
〈S予備校〉
 文学芸術の革新運動は、旧弊を打破し、陳腐さを刷新することが過剰になると、勢い余って、旧弊だけでなく、歴史的に継承され洗練されてきた善い趣味が損なわれる危険があるということ。(85字)
〈K予備校〉(75字)
 写生を重視し伝統的思想形式の刷新を目指してきた俳句革新運動も、写生を過度に強調すれば、旧弊だけでなく伝統が育んだ豊かな想像力をも奪ってしまうということ。
〈T予備校〉
 古人の思想形式の打破刷新に基づく文学美術の興隆とは、既成の情感に新たな趣向を加えることであり、度を超した打破刷新は、文学美術そのものを破壊しかねないということ。(79字)


問五 傍線部(5)はどういうことか、説明せよ。(4行 10点)
*内容説明問題。傍線部は問四で扱った写生趣味の「打破刷新」が、将来想定されるで

 あろう事態を述べた部分である。
*問四とは異なり俳句に寄せて解答する。写生趣味は結局、空想趣味を土台にした「一

 握りの土」に過ぎないことを説明する。
〈解答への道筋、思考のプロセス〉
◆写生趣味に対する筆者の最終的な見解
⑤「空想趣味のややもすると陳腐に陥る嫌ひがあるので、新しい方面を開拓しようとす

 るところのもの」
    ↓
 「古人が一握りずつの土を運んで築き上げてくれた趣味の上にさらに一握りの土を加

  へようとするところのもの」
   ↓
 「はじめてこの土に降下したものとして、ただちに自然より春雨の趣味を感得せんとす

  るところのもの」
 「およそ文学美術の萎微はすべて古人の思想形式を踏襲し模倣するところから起こ

  る」
  「およそ文学美術の興隆はすべて古人の思想形式を打破し刷新するところから起こ

  る」
 ↓
俳句の革新運動は旧弊を打破刷新する目的で写生趣味を主張してきた

 ・・・解答要素(X)
 ↓
 「しかれどもその打破刷新も歳月を閲するに従つて漸くにその鋒鋩を鈍くして」
  「玉はこれを拾ひ石はこれを焚くだけの識別が出来るやうにな」
    ↓
 「かつて馬蹄に一蹴し去った、かの一握りの土によつて築き上げられた空想趣味も、

  また必ずしも棄つべきもので無くて」
 ↓
写生趣味による俳句革新運動も歳月を経るに従って、空想趣味の価値が再認識され

 た・・・解答要素(Y)
 ↓
 「その一半の功を収めたりとして居つた一境地開拓も」
 「必竟その空想趣味のうえにさらに一握りの土を加へたの過ぎぬ事を知るに至る」
 ↓
その開拓も古人が積み上げ継承してきた伝統的な空想趣味に新たな趣味を加えたもの

 に過ぎないと認識する・・・解答要素(Z)
*(X)(Y)(Z)の内容を整理して統合する。
*解答欄は四行なので、一行25字程度として100字前後で解答を作成する。この程度の

 解答でよい。

〈解答例〉
 旧弊を打破刷新する目的で行われた写生による俳句の革新運動は、歳月の経過とともに空想趣味の価値も再認識され、その開拓は古人が積み上げ継承してきた空想趣味に新たな趣味を加えたものに過ぎないと認識できるということ。(103字)

*参考 大手予備校の解答例
〈S予備校〉
 旧弊の打破刷新に急進的だった新派俳句の運動も、歳月を経ると、打破した歴史的な空想趣味の価値に気づかされ、刷新の成果も結局、古人以来の歴史的な空想趣味の上に新たな趣味を加えただけで、その蓄積に一役を買ったことに気づくということ。(112字)
〈K予備校〉
 俳句革新運動は、旧弊を打破する上で写生が持つ意義を説いてきたが、一定の成果を築き上げた現在から顧みれば、その成果は、目前の事象に先人が連想を重ねてきた努力に新たな趣向を加えたものに過ぎないと認識できるということ。(105字)
〈T予備校〉
 写生趣味によって斬新な俳句の境地が開拓されたことは確かであるが、その開拓の流れの中で写生趣味に並ぶ空想趣味の持つ価値も再認識され、古来から築き上げられてきた空想趣味に一つの新たな要素が加わるという結果も認知されたということ。(111字)

本文マーキング①

 

本文マーキング②

 

2026年度 京都大学国語第1問 坂口安吾「恋愛論」

 こんにちは。大学受験「天晴」塾のbackbeat-akaです。

 2026年度京都大学第1問を掲載します。

 今回も随筆で、難易度は例年並みでした。

 ただ例年同様、制限時間内に考えをまとめて解答するのがすごく大変です。

 十分なトレーニングが必要です。本ブログにも京大の過去問題をいくつか掲載していますので、是非ご活用ください。

 

backbeat.hatenablog.com